放射線照射前に大量メトトレキサート療法を行った後のテモゾロミド内服投与及び放射線治療の併用療法並びにテモゾロミド内服投与の維持療法 

実施診療科 脳神経外科
承認年月日 2015年3月1日
適応症 中枢神経系原発悪性リンパ腫

主な内容

先進性

中枢神経系原発悪性リンパ腫は、高齢者に多く、近年増加傾向にあります。本邦における標準治療は、手術(生検)による組織診断後に大量メトトレキサート療法と放射線治療を行うものですが、今日でも多くの例で命に関わる治療困難な病気です。この病気に対し、テモゾロミドという抗がん剤の有効性がいくつかの文献で報告されていますが、テモゾロミドは悪性リンパ腫に対して薬事承認されておりません。

概要

初発の中枢神経系原発悪性リンパ腫の患者様に対して、大量メトトレキサート療法と放射線治療を行う治療法(標準治療)と、大量メトトレキサート療法と放射線治療に加えテモゾロミドを併用する治療法(試験治療)を比較する医師主導臨床試験で、JCOG(ジェイコグ)という多施設共同臨床試験グループにより行われます(http://www.jcog.jp/)(慶應義塾大学病院は共同研究機関)
この臨床試験への参加に同意いただけた場合、担当医が臨床試験への登録を行い、治療が始まります。「大量メトトレキサート療法+放射線治療」か、「大量メトトレキサート療法+放射線治療+テモゾロミド」のどちらの治療法を受けていただくかは、「ランダム」に(五分五分の確率で)決まります。

効果

「大量メトトレキサート療法+放射線治療」は、日本では広く行われておりその効果も証明されていますが、治療成績はまだまだ不充分で、更なる新しい治療の開発が必要です。標準治療にテモゾロミドという抗がん剤を加えた治療「大量メトトレキサート療法+放射線治療+テモゾロミド」を行うことで、従来の標準治療よりも高い治療効果が得られるのではないかと期待しています。