トラスツズマブ静脈内投与及びドセタキセル静脈内投与の併用療法

実施診療科 皮膚科
承認年月日 2017年2月1日
適応症

乳房外パジェット病(HER2が陽性であって、切除が困難な進行性のものであり、かつ、術後に再発したもの又は転移性のものに限る。)

主な内容

先進性

皮膚がんの一種で、外陰部に生じることの多い乳房外パジェット病は希少がんの一つに数えられる疾患です。転移を生じた場合の治療は、乳がんにおける抗がん剤治療を流用して行われているのが現状です。また、この疾患に対してガイドラインに明記された治療もなく、過去の症例報告を参考にした治療が実施されている現状があります。近年ではドセタキセルを用いた抗がん剤治療の効果が報告されていますが、医学的証拠が十分でない研究のみであり、その効果さえも十分とは言い難い状況です。  HER2蛋白陽性である乳癌、胃癌に対する最新治療として、HER2阻害薬と抗癌剤を併用した治療が実施され、その効果と安全性が示されています。同じHER2蛋白陽性である乳房外パジェット病に対するトラスツズマブ(HER2阻害薬)の効果は、日本のみならず世界的にも臨床研究が実施されていません。その点において、本治療は先進性がある治療であると考えられます。

概要

本先進医療は、国家戦略特区の枠組みで計画され、厚労省より承認されました。切除不能な進行期乳房外パジェット病に対して、2種類の抗がん剤(トラスツズマブ、ドセタキセル)を点滴投与し、その効果と安全性を評価します。いずれも乳癌における治療と同様に21日を1クールとし、3クール実施した後に効果を評価します。13名の患者さんが参加可能です。

効果

手術が適応にならない進行期乳房外パジェット病に対するドセタキセルの3サイクル後の有効性については、過去の研究において約33%と報告されています。HER2陽性症例においてはトラスツズマブの併用による上乗せ効果により、65%の奏効率が期待されます。本先進医療は、この奏効率を明らかにすることにあります。