自己心膜及び弁形成リングを用いた僧帽弁置換術

実施診療科 心臓血管外科
承認年月日 平成29年7月1日
適応症 僧帽弁閉鎖不全症(感染性心内膜炎により僧帽弁両尖が破壊されているもの又は僧帽弁形成術を実施した日から起算して六ヶ月以上経過した患者(再手術の適応が認められる患者に限る。)に係るものに限る。)

主な内容

先進性

手術を必要とする僧帽弁疾患患者にとって、かつて主要な選択肢であった僧帽弁人工弁置換術は、左心室の構造と調和のとれた心臓と弁の運動を大きく変えてしまう問題があった。本法は自然な左心室の構造と挙動を保ちながら弁機能を回復させるもので、 これまでの人工弁置換とは根本的に発想の異なる技術である。
現在急速に普及している僧帽弁形成術は、人工弁を回避できることの意義は大きいが、心臓の中の限られたスペースで繊細な修復手術を必要とするため、逆流の再発、 再手術の頻度が少なくないことが近年明らかになってきた。
本法は、心臓手術において人工心肺装着前に、体外で良好な視野のもとで弁を成形し、次いで人工心肺作動下に開心術を施行し単純な手技で形成した弁を植え込むことができる。術前に十分にシミュレーションをしてできた弁を用いることで、術後の仕上がりについて予測性が高く、 また構造上逆流が発生しにくいため、従来手術にくらべて、逆流が生じにくいのみならず、生理的機能が保持されることから長期的な左心室機能の回復、保持にも寄与することが期待されている。このように弁のデザイン及び手術方法は、これまで世界に例のない革新的なものであり、弁の材質については、再生医療との連携による発展が期待される。

概要

外科的手術が必要な僧帽弁閉鎖不全症症例を対象に自己心膜を用いたステントレス僧帽弁置換術の有用性を検討するために主要評価項目を術後2週間における経胸壁心エコー法評価による僧帽弁逆流の程度、副次評価項目を手術6か月後におけるイベント発生の有無、とした多施設共同非盲検単群試験。予定組み込み症例は25例。本手術の概要:胸骨正中切開後、自己心膜を採取。手術室内クリーンベンチにて自己心膜弁(Normo弁)を作成。心停止下、僧帽弁を露出、弁切除。まず前後2対の脚部をマットレス縫合で乳頭筋に縫着。次に連続縫合で前尖側弁リング部分を弁輪に縫着。最後に残りのリング部(後尖側)を連続縫合。大動脈遮断解除。心拍再開。十分な血圧を確認後、人工心肺離脱、経食道心エコーで弁の閉鎖状態を確認する。

効果

手術侵襲が小さく(開心下の手術手技が短時間で終わる、人工心肺作動時間が短い)、術後合併症が少なく、ワーファリン不使用のため生活制限が無く、逆流再発がおこりにくい、という特徴は患者にとって身体的・精神的に福音になるものである。