放射線治療科

概要

放射線治療科は、主にがん(悪性腫瘍)に対する放射線治療を専門に行う部門です。
放射線治療は、手術・抗がん剤に並ぶがん治療の柱の一つです。根治的な治療から緩和的な治療まで、他の臨床各科との連携のもとに各種の悪性腫瘍の放射線による治療を行っています。
当科ではリニアックを用いた外部放射線治療のほかに、前立腺がん組織内照射や子宮がん腔内照射といった小線源治療、去勢抵抗性前立腺がんの骨転移に対する塩化ラジウム内用療法を実施しています。

特色・方針・目標

放射線治療には大きく分けて二つの方法があります。身体の外から腫瘍を狙って放射線を照射する「外部放射線治療」と、放射線を出す線源を腫瘍(あるいはその近く)に挿入して治療する「小線源治療」です。私たちは外部放射線治療と小線源治療の両者に積極的に取り組んでいます。がんを完全に治すことを目的とする治療はもちろん、がんに伴う様々な症状を和らげるための治療(緩和的放射線治療)まで、個々の患者さんに最適な放射線治療が可能です。
外部放射線治療では、放射線を病変の形状に正確に一致させて集中照射する「定位放射線治療」や、コンピュータを駆使して治療効果の向上と合併症の低減を目指した「強度変調放射線治療(IMRT)」を数多く手がけています。小線源治療では、子宮がんに対する「腔内照射」や前立腺がんに対する「ヨウ素125密封小線源永久挿入療法」を取り入れ、手術以外の治療の選択肢を提供しています。
放射線治療は全身の腫瘍を対象とするため、各診療科との連携がとても大切です。院内の各診療科と定期的にカンファレンスを行い、患者さんごとに最適な治療が提供できるよう日々知恵をしぼっています。

対象疾患は次のようになっております

次のような症状を扱っております

腫瘍に伴う各種の症状に対して、各診療科と連携をとりながら、個々の患者さんについて放射線治療の適応を決定します。放射線治療科での入院はお受けしておりません。

主な実績

名称 件数 備考
放射線治療患者実人数(新患+再患) 918件 2023年
強度変調放射線治療(IMRT) 254件 2023年
定位放射線治療(脳+体幹部) 133件 2023年
腔内照射 47件 2023年
ヨウ素125密封小線源永久挿入療法 24件 2023年
緩和的放射線治療 257件 2023年

ご挨拶

慶應義塾大学病院の放射線治療科は、放射線医学の診療科を標榜する放射線科学教室として1920年に創設され、国内最古の歴史を誇ります。そして、我が国で最大規模の放射線科学教室として、長年にわたり多くの患者のがん治療に大きく貢献してきました。現在、放射線治療はテクノロジーの進歩を最も享受する医療分野です。がんに対して過不足なく高線量を照射することが可能となり、高い治療効果と少ない副作用を両立する治療法となっています。腫瘍部のみにピンポイントで照射を行う定位的放射線照射や強度変調放射線治療技術の進歩、化学放射線療法の適応拡大、放射性物質を直接挿入する腔内・組織内放射線治療などにより、多くのがんで手術と同等の治療効果を示しながら、同時に患者にやさしい治療が可能となっています。免疫療法との併用療法も期待されています。当科は、診療・研究・教育において世界に冠たるレベルの放射線治療の拡充に取り組んでおります。

医師紹介

氏名 写真 職位 専門領域 認定資格等
武田 篤也 武田 篤也 教授・診療科部長 放射線治療全般・高精度放射線治療 日本医学放射線学会専門医
がん治療認定医
日本医学放射線学会研修指導者
深田 淳一 深田 淳一 専任講師・診療科副部長・外来担当医長 放射線治療全般・強度変調放射線治療・定位放射線治療 日本医学放射線学会専門医
がん治療認定医
日本医学放射線学会研修指導者
白石 悠 白石 悠 専任講師 放射線治療全般・小線源治療 日本医学放射線学会専門医
がん治療認定医
日本医学放射線学会研修指導者
吉田 佳代 吉田 佳代 助教 放射線治療全般 日本医学放射線学会専門医
日本医学放射線学会研修指導者
田中 智樹 田中 智樹 助教・保険担当医長 放射線治療全般・小線源治療 日本医学放射線学会専門医
がん治療認定医
日本医学放射線学会研修指導者
澤田 将史 澤田 将史 助教 放射線治療全般 日本医学放射線学会専門医
がん治療認定医
日本医学放射線学会研修指導者
外山 弘文 外山 弘文 助教 放射線治療全般 日本医学放射線学会専門医
日本医学放射線学会研修指導者

外来診療表担当表

連絡先

より詳しい情報は当部門の専用webサイトをご覧ください。

受診について

  • 当院では患者さんの待ち時間を短縮するため、予約制を導入しています。
  • ご予約方法は一般の患者さんと医療関係の方で異なります。