トラスツズマブ エムタンシン静脈内投与療法が患者申出療養に承認されました

2020年08月06日

トラスツズマブ エムタンシン静脈内投与療法が、2020年6月19日付で患者申出療養に承認されました。

現時点で乳房外パジェット病に投与できる薬剤や治療法には、保険収載されているものがなく、標準治療がない状況です。
乳房外パジェット病に対するHER2阻害薬治療としては、過去にトラスツズマブによる治療の症例報告があり、本邦では当院において、HER2陽性乳房外パジェット病を対象とした、トラスツズマブ、ドセタキセル併用療法の臨床試験を先進医療Bとして実施していました(2019年4月症例登録終了)。
一方で、乳房外パジェット病に対してトラスツズマブ エムタンシンを用いて治療を行った臨床試験はありませんが、トラスツズマブによる治療歴のあるHER2陽性乳癌に対してはすでに安全性、有効性が確立された治療法であり、海外においても、乳癌に対する本治療の有用性は検証・確立しており、乳房外パジェット病においてもその効果が期待されます。

この患者申出療養制度に基づく臨床試験では、HER2陽性の手術不能又は再発乳房外パジェット病の患者さんのうち、過去にトラスツズマブによる治療を受けたなど、定められた基準を満たした患者さんに対してトラスツズマブ エムタンシンを用いた治療を21日おきに行い、有効性について評価します。治療による副作用についても評価します。有効である場合、最長で2年間の投与が可能な試験になっています。

トラスツズマブ エムタンシン静脈内投与療法の詳細については以下のページをご覧ください。

トラスツズマブ エムタンシン静脈内投与療法
https://www.hosp.keio.ac.jp/about/yakuwari/moushide/moushide02.html