のみ薬

薬の服用時刻は作用の仕方を考慮して決められる

薬には目的とする効果とは別に、人のからだや生理に、いろいろな作用をおよぼすものがあります。そのため、服用のタイミングによっては、日常生活に思わぬ障害をおよぼす場合があります。

例えば、利尿剤を夕方以降に服用すると、夜間に尿が近くなってなかなか眠れなくなってしまいます。のむと眠くなる風邪薬や鎮静剤を飲んだ後は、車の運転等は控えなければ事故をおこす危険があります。

また狭心症では食後によく狭心痛がおこるため、抗狭心症薬の血中濃度を食後まで保つために、食前に内服する必要があります。

このように薬の服用時間は薬の副作用の防止や作用の仕方を十分考慮して決められるのでラベル・薬袋等をよく見て、用法・用量を確かめてから飲んで下さい。

食事との関係は?

従来の薬はそれほど食事との関係を考える必要はなかったのですが、最近の薬はお食事の有無で効果が強く出すぎたり、まったく吸収されなかったり、食事と一緒に飲まなければ、消化管の粘膜を痛めて重篤な潰瘍を引き起こす場合があります。用法をきちんと守らないと効果が出るところか、副作用のみが出てしまうような薬が多くなっています。

もし飲み忘れたら?

次の服用時間まで、時間がある時はすぐ飲みましょう。次の服用時間に近かったり、その時間がきてしまった場合は、1回分はあきらめます。2回分をまとめて飲んだりすると余分な薬の作用で副作用が生じて新たな病気をひきおこしてしまいます。時間ごとに服用するものは、血中濃度をある水準に保つために計算されて時間を決めているので、次の服用時間をずらすなど工夫してください。糖尿病薬など決して忘れてはいけないものもありますので、詳しくは医師や薬剤師に相談してください。

どうやって飲むの? 水で飲まないといけないの?

薬に共通して大切なことは、コップ一杯以上の水と一緒にのむことです(水分量制限を受けている方は医師にご相談下さい)。

とくにお年寄りには大切です。お年寄りには様々な生理機能の低下がみられ、また飲み込む力の低下や唾液流量も少なくなっているために、お薬を飲むときに十分な水を摂らないと、お薬が食道に付着して薬剤性の潰瘍を生じる危険性が高くなります。寝たきりのお年寄りの場合は、その際なるべく体を支えて起こしてあげることも必要です。水を多めに飲むことは、薬を溶かしやすくし、胃への負担も小さくなり、薬の吸収も良くします。

最近では唾液で解けるタイプのお薬も出ています。服用方法の指示に従ってください。

粉薬

子供や老人など、錠剤やカプセルを飲めない方でも飲めます。特に指示のない時は、一回一包ずつ飲んで下さい。
オブラートに包んでのんでもかまいませんが、苦味健胃薬などは苦みや独特のにおいを効果の一つにしておりますので、そのまま飲んだ方がよいでしょう。

錠剤・カプセル剤

1回に飲む個数を確かめ、シートから出して飲んで下さい。

錠剤をかみ砕いたり、カプセルをあけて飲んだりしないで下さい。
カプセルや錠剤の中には、効果を持続させるため徐々に解けるようにくふうされたもの、胃酸で分解しないよう胃で溶けずに腸で溶けるようにしたものなどいろいろあるからです。

液剤・水薬

良く振ってから飲んで下さい。とくに、懸濁剤は主薬(薬効)が沈殿してしまう性状があるので、服用前によく振って均等に分散しなくてはいけません。
薬札に書かれた指示量を守り、添えてあるコップ又はスポイトを使って飲んで下さい。
直接ビンに口をつけると腐敗しやすくなります。かならず毎回別の容器にうつしてから飲んでください。