新型コロナウイルス感染症に関する当院の状況について

2020年05月01日

2020年4月21日に当院の新型コロナウイルス感染症に関する状況をお知らせいたしました。その後の取り組みと当院の現状について以下のとおりお知らせいたします。

入院前PCR検査について

2020年4月6日より、院内感染のリスクを下げ、患者さんの安全を確保するために、入院治療を必要とする全ての患者さん(分娩を含む)には、入院前に外来で新型コロナウイルスPCR検査を受けていただいております。あわせて、全身麻酔手術を予定する患者さんに、胸部CT検査も受けていただいております。
ただし、感染を否定することのみを目的としたPCR検査や診療を行うことはできませんのでご了承ください。

入院前PCR検査の陽性件数について

当院の外来で入院前に施行したPCR検査(いずれも新型コロナウイルス感染症以外の疾患の治療を目的とする入院予定で、新型コロナウイルス感染症の症状がない患者さんを対象)の検査結果は、以下となります。

[期間]   [人数 人/人中] 
4月 6日-12日  0/97   (0%)
4月13日-19日  5/67  (7.46%) ※
4月20日-26日  2/60  (3.33%) 
4月27日-30日  0/34  (0%) 
※4月21日に発表した際は、67名中4名としておりましたが、新型コロナウイルス感染症以外の疾患で、外来での検査後に即日入院となった患者さん1名が陽性でしたので、4名から5名に訂正いたします。

このデータは、当院での治療を必要とする悪性腫瘍や免疫難病などの患者さんを対象としています。地域や病院の機能、施行時期によって入院前に施行するPCR検査の陽性率は異なるものと考えられます。
このデータが一般の感染率を直接反映するものではありませんが、無症状で、新型コロナウイルス感染を疑っていなかった方々の中にPCR陽性者がいることを、大変重要な事実ととらえています。PCR陽性の患者さんに、手術や入院を要する強力ながん化学療法を行なった場合、患者さん自身に重篤な肺炎等が発生する可能性があるため(文献1、2)、極めて重要な検査と考えております。当院では、他の迅速かつ有効な検査が利用できるようになるまでは、治療や手術を受ける患者さんの安全を第一に考え、今後も市中感染の状況や検査体制を考慮しながら、当面は、入院前PCR検査を継続したいと考えております。

入院前PCR検査で陽性となった患者さんについては、必要に応じて新型コロナウイルス感染症治療専用病棟に入院していただき、新型コロナウイルス感染症の経過観察もしくは治療の後、適切な時期に元々治療が必要であった疾患の治療を行います。
当院では、入院前PCR検査の実施によって、患者さんご本人をはじめ、その他の入院患者さん、あるいは医療従事者にもより安全な体制の下で適切な診療を続けてまいります。
※PCR検査については、現在各学会、団体を通して保険診療としていただくよう要望書を提出しておりますが、現時点では病院負担で行っております。

文献
1. S. Lei et al., Clinical characteristics and outcomes of patients undergoing surgeries during the incubation period of COVID-19 infection, EClinicalMedicine (2020), https://doi.org/10.1016/j.eclinm.2020.100331
2. L. Zhang et al., Clinical characteristics of COVID-19-infected cancer patients: a retrospective case study in three hospitals within Wuhan, China . Ann Oncol (2020) https://doi.org/10.1016/j.annonc.2020.03.296

新型コロナウイルス感染症治療

新宿区医師会・病院連携モデル、東京都の要請に応じて、中等症の患者さんの重症化を防ぎ、重症・重篤化した患者さんを一人でも多く救うため、複数診療科により結成されたCOVID-19救命チームを中心とする体制を整えて、治療にあたっています。
院内のゾーニングをしっかりと行い、治療を行う病棟、担当する医療従事者を分けて、新型コロナウイルス感染症治療を行っております。

また、基礎研究部門は、COVID-19研究チーム(慶應ドンネルプロジェクト)を結成し、ウイルス遺伝子の解析による詳細な疫学調査、病態の解明、新しい血清診断法や抗体療法の開発にむけて研究に取り組んでおります。

当院は引き続き基礎部門・臨床部門が一丸となって、大学病院・特定機能病院として担うべき、新型コロナウイルス感染症以外の疾患の診療、新型コロナウイルス感染症の治療を安全な体制で行って参ります。皆様のご理解とご協力を引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。


(慶應ドンネルプロジェクト:COVID-19 の感染拡⼤をきっかけに、初代医学部長・病院長である北⾥柴三郎の原点を再確認し、感染・免疫・炎症に関する研究を加速し、⼈材を育成するプロジェクト。ドンネルは北里柴三郎の愛称に由来する。)

2020年5月1日
慶應義塾大学病院
病院長 北川 雄光

過去の新型コロナウイルスに関する当院からのお知らせ(4月21日、4月6日、3月27日、3月26日)
http://www.hosp.keio.ac.jp/st/management/info/covid-19_info_0501.pdf