当院で実施した医師主導治験において発生したGCP不適合について

2020年10月09日

慶應義塾大学病院長 北川 雄光
慶應義塾大学医学部長 天谷 雅行

当院で実施しました以下の医師主導治験におきまして、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)、同施行規則(薬機法施行規則)、および「再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(再生医療等製品GCP省令)の規定に適合しない報告の遅れがありました。

治験名:進行・再発固形がん患者を対象としたRK-163パルスヒト自家CD14陽性細胞(RK-CD14MO)の第Ⅰ相臨床試験
開始日:2018年3月12日
中止日:2020年4月24日
臨床試験登録情報:UMIN000031684 (UMIN試験ID)

不適合の具体的な内容は、2019年7月に治験製品提供者より、当院において同年2月および3月に被験者1名へ投与した治験製品に規格値逸脱(あらかじめ定められた規格の上限を超える数の細胞の充填)があった旨の報告を治験調整医師および当院治験責任医師が受けたのに対し、この情報を薬機法、薬機法施行規則、および再生医療等製品GCP省令に規定された所定の報告を行うべき情報ととらえず、病院長、治験審査委員会、および他の実施医療機関の治験責任医師へ直ちに通知することを怠り、また厚生労働大臣へ所定の期限内に報告を行うことを怠ったものです。

この不適合につきまして、当院における調査ならびに2020年8月4日に開催されました当院特定臨床研究監査委員会の意見を踏まえ、当院として発生要因の究明および再発防止策の検討を行い、2020年10月2日に厚生労働省へ報告を行いましたので、ここにお知らせいたします。

なお規格値逸脱のあった治験製品により試験が実施された被験者において、重篤な有害事象や健康被害の発生は認められず、2020年3月に経緯のご説明と謝罪をさせていただきました。また、他の被験者に用いられた治験製品に同様の規格値逸脱は発生しておりません。本治験は2020年4月24日、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に中止の届出を行いました。

私たちは、今回の事態を重く受け止め、被験者の保護を最優先に、適用規制を遵守した医師主導治験が適正に実施されるよう、再発防止に徹底して取り組んでまいります。

本治験の被験者としてご協力いただいた患者の皆様、ならびにご関係者各位にご心配とご迷惑をおかけしましたことを、心より深くお詫び申し上げます。

当院で実施した医師主導治験において発生したGCP不適合に関する報告書 [PDF]

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