実施診療科 | 産婦人科 |
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承認年月日 | 2024年8月1日 |
適応症 | 不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものであって、これまで反復して着床又は妊娠に至っていない患者に係るものに限る。) |
主な内容
先進性
これまで主に卵子の質が体外受精後の胚質や胚発生、及び生児獲得の成否を決定するとされてきたが、近年、精子の関与も報告されている。特に精子のDNA損傷が注目されており、DNA損傷の無い精子の使用によって胚質の改善に繋がる可能性が指摘されている。日本生殖医学会発行の生殖医療ガイドラインでは、高度な精子選択技術に関する項目(CQ22)で、生殖補助医療の成功には運動性が良好で、十分に成熟し、DNAの完全性が高く、構造的に健全である精子を選択することが重要であると記載されている。
ZyMōtスパームセパレーターは、従来法で必要だった精子の遠心分離を行わないことで、精子に損傷を与えるとされる化学物質の発生を抑え、先述のガイドラインの条件を満たす精子を抽出可能とした。この精子を用いた顕微授精では、胚発育や妊娠率・着床率・生産率の向上、流産率の低下が報告されており、ZyMōtスパームセパレーターによる精子選別が有用と考えられる。
概要
【選択基準】
・対象:以下のすべての条件を満たす方
1) 1回以上顕微授精を実施しても移植可能胚が得られず、または胚移植しても妊娠に至らなかった症例で、次の採卵で顕微授精を予定する方
2) 本人の自由意思により口頭同意の取得が可能な方
【除外基準】
以下のいずれかひとつ以上に該当する方
1)高度乏精子症の男性患者(原精液中の総運動精子数 が10万未満、総運動精子数=液量(ml)×精子濃度(1mlあたり)×精子運動率(%)で算出)
2)TESE/TESA/PESAの対象となる男性不妊症患者
3)凍結融解精子を使用する患者
4)生殖補助医療治療計画書を作成時の女性年齢が43歳以上のカップル
5)その他、臨床担当医師が安全に実施するのに不適当と判断した症例
効果
体外受精および顕微授精の胚培養成績の向上、臨床的妊娠率・着床率の上昇、流産率の低下