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お知らせ
2025/07/11
病院からのお知らせ
当院で実施中の特定臨床研究において発生した重大な不適合について
2025年7月11日
慶應義塾大学病院長 松本 守雄
当院で実施中の以下の特定臨床研究(臨床試験、以下「本研究」といいます)において、研究対象者の患者様がお亡くなりになりました。調査の結果、本研究において研究計画書等の不遵守による重大な不適合が発生していたことが判明したので、以下のとおり公表します。
研究の名称:局所進行直腸癌に対する術前治療としての短期放射線療法とCAPOX及び短期放射線療法とCAPOXIRIの多施設共同ランダム化第Ⅲ相試験
臨床研究実施計画番号:jRCTs031220342
当院整理番号:N20226006
重大な不適合の具体的な内容は、2024年11月より本研究に参加された研究対象者1名に実施した試験治療において、準拠すべき研究計画書が変更されていたにもかかわらず、変更後の最新の研究計画書を遵守せず、①同年12月、術前化学療法の試験薬1種(イリノテカン塩酸塩水和物)について研究計画書所定の用量(150mg/㎡体表面積)を超えた量(200mg/㎡体表面積)で投与したこと、および、②初回の術前化学療法に関する経過観察実施日(外来診察予定日)を研究計画書記載の範囲(化学療法開始日から8日目±1日)を逸脱する日(同開始日から10日目)に設定したことです。また、③術前化学療法の開始後に生じた、ご自宅での研究対象者の体調不良への当院の対応についても、不備がありました。
これらの重大な不適合の発生について、当院はただちに本研究を中断して調査を行うとともに、厚生労働省へ報告を行い、2025年5月13日に開催された本件に関する当院特定臨床研究監査委員会の意見を踏まえて、発生要因の究明と再発防止策の検討を行いました。
私たちは今回の事態を重く受け止め、研究対象者の保護を最優先に、法令を遵守した臨床研究が適正に実施されるよう、当院の臨床研究実施方針を改めて教職員に徹底し、再発防止に取り組んでまいります。
研究対象者としてご協力いただいた患者様、ならびにご家族の皆様に深くお詫び申し上げます。
なお、本件については、医療法に規定された医療事故調査制度に基づき、院外の委員を含む医療事故調査委員会が設置され、医療事故としての調査が現在行われており、医療事故の原因等については同委員会により別途検討されることを申し添えます。
(ご参考)
特定臨床研究実施体制に係る監査報告書(臨時監査)
2025年5月23日、慶應義塾大学病院特定臨床研究監査委員会
臨床研究に関する情報公開 重大な不適合について
https://www.hosp.keio.ac.jp/about/disclosure/#sec05
本件に関するお問い合わせ先:
慶應義塾大学病院 総務課
Email: pr-med@adst.keio.ac.jp