概要

神経内科では、中枢神経系(脳や脊髄)、末梢神経、筋肉を侵す様々な内科疾患を診療しています。大学病院として常に先進的な、より良い医療を提供すると共に、広域に及ぶ関連病院や近郊の在宅医療拠点と密に連携をとりながら、患者さんの生命の質(quality of life; QOL)が向上するよう全人的医療に努めています。

特色・方針・目標

21世紀に入り、神経内科は大きく発展しています。様々な神経難病の原因が明らかにされ、また画期的な治療も次々と開発されています。大学病院はこれらを先導する役割を担っており、当科では新しい治療をいち早く患者さんに届けるべく治験も積極的に実施しています。
当科はあらゆる神経内科疾患に対し適切な医療を提供することを目標としており、脳卒中、認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、重症筋無力症、てんかん、片頭痛などにそれぞれ精通した専門医が在籍しており、専門外来も設置しています。

対象疾患は次のようになっております

  • 遺伝性小脳失調症(SCA1, SCA2, SCA3, SCA6)

  • 晩発性小脳皮質萎縮症

  • 多系統萎縮症(オリーブ橋小脳萎縮症、シャイドレーガー症候群、線条体黒質変性症)

  • その他のパーキンソン症候群

  • パーキンソン病

  • 進行性核上性麻痺

  • 脳血管障害(脳梗塞、一過性脳虚血発作、脳出血、くも膜下出血、ウィリス動脈輪閉塞症)

  • 頸動脈狭窄症

  • 頭蓋内動脈狭窄症

  • 脊髄空洞症

  • 平山病

  • 三叉神経痛

  • 周期性四肢麻痺

  • 本態性振戦

  • 痙性斜頸

  • 書痙

  • 眼瞼痙攣

  • 顔面痙攣

  • その他の脳神経麻痺

  • 外転神経麻痺

  • 動眼神経麻痺

  • 滑車神経麻痺

  • 顔面神経麻痺

  • ウィルソン病

  • ミトコンドリア脳筋症

  • その他の遺伝性神経疾患

  • ハンチントン病

  • 脊髄性進行性筋萎縮症

  • 痙性対麻痺

  • てんかん

  • 筋萎縮性側索硬化症

  • 副腎白質ジストロフィー

  • 進行性多巣性白質脳症

  • 急性散在性脳脊髄炎

  • 視神経脊髄炎

  • 進行麻痺

  • 多発性硬化症

  • 肥厚性硬膜炎

  • 脳炎

  • 髄膜炎

  • 群発性頭痛

  • 片頭痛

  • シャルコー・マリー・トゥース病

  • 緊張性頭痛

  • フィッシャー症候群

  • 多発ニューロパチー

  • ギランバレー症候群

  • その他のミオパチー

  • 筋強直性ジストロフィー

  • 多発筋炎

  • 進行性筋ジストロフィー

  • その他の認知症

  • 重症筋無力症

  • クロイツフェルトヤコブ病

  • 前頭側頭葉型認知症

  • レビー小体型認知症

  • アルツハイマー病

  • その他の脊髄小脳変性症

次のような症状を扱っております

・頭が痛い(頭痛)
・手足のふるえ
・手足の脱力
・手足の硬直感
・手足のしびれ、感覚障害
・めまい
・ふらつき
・歩行障害
・けいれん発作
・意識障害
・気を失った(失神)
・ものがだぶって見える(複視)
・嚥下困難
・言葉のもつれ

主な実績

当科には、年間延べ約3万人の患者さんが外来に来院されており、毎月50~80名の患者さんが初診として受診されています。また年間延べ約1万人の患者さんが入院されており、毎月約40~60人の患者さんが新規に入院されています。
あらゆる神経内科疾患の患者さんが通院並びに入院されていますが、特に重症筋無力症や多発性硬化症などの神経免疫疾患、パーキンソン病、脳卒中の患者さんが多い特徴があります。
新しい治療をなるべく早く患者さんに届けるべく積極的に活動しており、数多くの治験を実施しています(詳しくは当科ホームページをご参照ください)。

名称 件数 備考
脳梗塞/頸動脈狭窄症など 177 2023年入院患者数
脳出血 38 2023年入院患者数
重症筋無力症/筋炎・ミオパチー 110 2023年入院患者数
多発性硬化症/視神経脊髄炎など 89 2023年入院患者数
パーキンソン病 46 2023年入院患者数
脊髄小脳変性症/多系統萎縮症など 38 2023年入院患者数
末梢神経疾患(ギラン・バレー症候群,慢性炎症性脱髄性多発神経炎など) 61 2023年入院患者数
運動ニューロン疾患 30 2023年入院患者数
てんかん/痙攣 31 2023年入院患者数
頭痛(髄膜炎など含む) 23 2023年入院患者数
脳炎 8 2023年入院患者数
その他 152 2023年入院患者数
合計 803 2023年入院患者数

ご挨拶

かつて神経内科は診断あれど治療なしと揶揄されていました。しかし21世紀に入り、難攻不落であった神経内科疾患に対する画期的治療法が次々と開発されてきています。慶應義塾大学病院神経内科はその前線に立ち、先進的な医療を迅速に患者さんに届けられるよう努めています。総合大学としての強みを活かし、また医学部を支える多くの研究者と共役し、これまで越えられなかった壁を越え続け、我が国はもちろん、世界をリードする神経内科でありたいと願っています。

教授 中原 仁

連絡先

より詳しい情報は当部門の専用webサイトをご覧ください。

受診について

  • 当院では患者さんの待ち時間を短縮するため、予約制を導入しています。
  • ご予約方法は一般の患者さんと医療関係の方で異なります