概要

脳や脊髄の疾患(脳腫瘍、脳血管障害、頭部外傷、機能的疾患、先天性脳疾患など)に対する外科治療を中心に診療を行い、より多くの患者さんに高度で先進的な医療を提供いたします。
また、先駆的なこころみも行い、脳神経外科学を発展させることにより、受診される患者さんのみならず日本および世界の人々に貢献いたします。

特色・方針・目標

当大学脳神経外科は豊富な脳腫瘍手術の経験とそれに拠った治療成績の良好さで知られております。特に深部の頭蓋底病変に対し、脳および神経への損傷を最小限に食い止めて、高い摘出率を目指す頭蓋底手術では世界的に有名な施設です。近年は従来の顕微鏡手術に加え、神経内視鏡施行を用いた内視鏡頭蓋底手術も積極的に行っております。手術のみで治癒しない脳腫瘍に対しては、遺伝子解析の結果も利用して適切な併用療法(化学療法、放射線療法、ワクチン療法など)をおこなっています。
脳血管障害に対しては、あらゆる難易度の病変に対しても直達手術と血管内手術を使い分け、安全で効果の高い治療を実践しております。2013年よりハイブリッド手術室が稼働し、直達手術と血管内治療の双方の利点を取り入れた治療を行っています。
脳機能を修飾して機能改善を図る脳深部刺激術をはじめとした機能的手術の経験も豊富です。
小児部門では小児科をはじめ他科と協力しながらチーム医療を行っております。常に低侵襲な治療を心がけておりますが、摘出困難と言われた脳腫瘍に対しても適応を充分に検討し、積極的に手術を行っております。

対象疾患は次のようになっております

  • 脳腫瘍

  • 血管芽腫

  • 血管周皮腫

  • 脊索腫

  • 軟骨肉腫

  • 海綿状血管腫

  • ジストニア

  • 脳動脈閉塞症

  • 頭頸部血管奇形

  • 脊髄血管奇形

  • てんかん

  • 髄芽腫

  • 上衣腫

  • 胚細胞腫瘍

  • 頭蓋咽頭腫

  • 二分脊椎

  • 二分頭蓋

  • くも膜のう胞

  • 神経線維腫症

  • Von Hippel-Lindau病

  • 遺伝性出血性末梢血管拡張症

  • 上衣腫

  • 頭蓋骨腫瘍

  • 脊髄髄膜瘤

  • 脊髄脂肪腫

  • 脊髄空洞症

  • 脊髄係留症候群

  • 頭蓋骨縫合早期癒合症

  • 舟状頭蓋

  • 三角頭蓋

  • 短頭蓋

  • 頭血腫

  • 帽状腱膜下血腫

  • 進行性頭蓋骨骨折

  • 新生児脳室内出血

  • 頭蓋骨欠損

次のような症状を扱っております

頭が痛い(頭痛)、頭や首を強く打った、気を失った(失神)、てんかんを起こした、物が二重に見える、めまいがする、耳が聞こえにくくなった、顔が曲がった、顔面に痙攣がある、手足がしびれる、手や足が動きにくくなった、歩こうとするとよろける、ろれつが回りにくくなった、話そうとしても言葉が出ない、頭囲が大きい

検査内容のご案内

  • 頭部MRI

  • 頭部MRA

  • CTアンギオ

  • 頭部レントゲン

  • 機能的MRI

  • 機能的NIRS

  • 脳波検査

  • 脳血流SPECT

  • PET

  • 誘発電位検査

  • 血液検査

  • ホルモン検査

  • 神経膠腫の遺伝子解析

主な実績

頭蓋底手術(開頭、内視鏡)、覚醒下手術、バイパス手術、血管内手術、脳深部刺激手術、小児脳神経手術の専門家を擁しています
難易度の高い予定手術を数多く行っていますが、救命を目的とした緊急手術にも24時間365日対応しております

名称 件数 備考
脳腫瘍摘出術(グリオーマ、髄膜腫、下垂体腺腫、転移性脳腫瘍など) 176件 2023年
脳血管障害開頭術(クリッピング、バイパス、頸動脈内膜剥離術など) 37件 2023年
神経内視鏡手術(水頭症、脳出血、脳腫瘍など) 57件 2023年
脳血管内手術(コイル塞栓、ステント留置術、血管奇形塞栓術など) 103件 2023年

ご挨拶

慶應義塾大学医学部脳神経外科では、脳・脊髄・神経の病気に悩む患者さんのため、新しい知識と高度な技術を統合して治療に当たります。

時代を先導する先進的な医療に取り組みます
これまで、最も治療困難な頭蓋底疾患の分野で、先導して取り組んできた実績に基づき、すべての脳神経外科分野において、質の高い医療を提供します。とくに難治性疾患治療のため、神経内視鏡手術、血管内手術など、有効かつ安全な低侵襲手術を積極的に行っています。

新たな治療法の開発研究を推進します
治療困難な疾患の克服を目指して、基礎教室と連携し、基礎から臨床への橋渡し研究を推進しています。免疫治療、遺伝子治療、幹細胞治療など、先進的な医療の開発と臨床応用を進め、臨床医の視点から神経科学に貢献します。

国際的な視野で活躍する人材の育成に力を注ぎます
「世界を先導する慶應義塾大学脳神経外科」を目指し、海外および国内関連施設との強い連携の中で、専門性と多様性を両立させる人材育成を行っています。様々な活躍の場を提供することで、多様なキャリアを支援し、慶應脳外科で働くことが喜びとなる魅力的な教育を行っています。

患者さんの大切な未来を守るため、教室員が一丸となって全力で取り組んでまいります。 ご指導、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

連絡先

より詳しい情報は当部門の専用webサイトをご覧ください。

受診について

  • 当院では患者さんの待ち時間を短縮するため、予約制を導入しています。
  • ご予約方法は一般の患者さんと医療関係の方で異なります