概要
糖尿病先制医療センターは令和元年に設立された新しい診療クラスターセンターです。
「先制医療」は疾患の治療や対症療法を中心としたこれまでの医療と異なり、疾患発症の超早期やそれ以前の時点から患者さん個々の特性に沿った介入を行う事で疾患そのものの発症を予防し、疾患による影響を最小限に抑える個別化された予防医療を意味します。2型糖尿病においては発症の原因となる生活習慣の改善や肥満の治療に取り組み、インスリン分泌を担う膵臓のβ細胞の機能保護により糖尿病の発症・進行の抑制を目指します。1型糖尿病や血糖コントロールの不安定な方では、適切なインスリンポンプや持続血糖測定器を活用し、患者さん一人一人に合ったきめ細やかな血糖管理を行います。当センターでは 糖尿病分野における先制医療を通して糖尿病合併症の進行抑制を目指しています。

特色・方針・目標
糖尿病患者さんは一人一人異なった背景や状態にあります。当センターは1型・インスリンポンプ外来、フットケア外来、肥満症外来、遺伝性糖尿病外来などの専門外来に加え、図に示す”合併症予防“、”治療サポート“、”人生サポート“の3本の柱によって構成されており、患者さんをあらゆる角度からサポートいたします。
患者さんに親身に寄り添うオーダーメイドの先制医療を目指し、当センターは糖尿病診療を牽引する中核として社会的使命を果たします。

次のような症状を扱っております
血糖値が高いと言われた。
低血糖の症状を感じた。
コレステロール値や中性脂肪値が異常と言われた。
肥満を解消したい。
主な実績
【2023年度】
糖尿病外来の通院患者数 約5978名
インスリンポンプ療法患者数 約68名
フットケア外来通院患者数 約125名
ご挨拶
令和元年5月、「糖尿病先制医療センター」を開設いたしました。本センターではこれまでの慶應義塾大学病院における糖尿病診療を基礎に、その内容をさらに発展させていくよう職員一同決意を新たにしております。
私はこれまで糖尿病診療において糖尿病性腎臓病の予防や糖尿病足病変のケアを中心とした診療や研究を行ってまいりました。糖尿病は様々な血管障害の基礎にあり、残念ながら現在の医学においてもその慢性合併症を十分に予防できているとは言えません。糖尿病状態を早期から治療し合併症を予防すると同時に、糖尿病の慢性合併症を早期に発見し治療する、あるいは既に合併症を持っている方が合併症と共に生きていくことを支援することもこの糖尿病先制医療センターの大きな役割になります。これは内科のみならず、眼科や外科など多くの診療科と連携して行うべき診療であり、まさに本センターがクラスター診療として目指していることに他なりません。
合併症予防に関する先進的な診療を提供する事、そして同じ志を持つ慶應義塾大学病院の診療科と強固な協力体制を組み、患者さんお一人お一人の合併症の発症を未然に防ぐ“先制医療”を実現してまいります。
糖尿病先制医療センター
センター長 目黒 周

オンライン糖尿病教室のご案内
2023年7月まで、コロナ感染拡大防止のため外来糖尿病教室の開催は中止としており、オンデマンド動画によるオンライン学習を行っていました。その時の、コンテンツを公開しております。
第1講
・ 糖尿病に関する基礎知識 担当 医師
・ 検査の話 担当 検査技師
・ 薬の話 担当 薬剤師
・ 食事療法(基礎編) 担当 管理栄養士
第2講
・糖尿病の日常生活上の注意 担当 看護師
・運動療法について・歩き方とストレッチの実際 担当 医師・理学療法士
・食事療法(応用編) 担当 管理栄養士
その他
・様々な医療スタッフより専門領域について3分程度で講義した動画もご用意しています。
ご視聴をご希望の方は外来担当医師または看護師・受付スタッフにお声掛け下さい。
オンライン糖尿病教室のご案内や視聴方法は以下のURLから
https://keio.app.box.com/folder/119412122003?v=patients-contents
糖尿病教室のご案内
2023年7月から、糖尿病教室を対面式で新しい形となって再開しております。
糖尿病の基本から最新情報まで学ぶことができます。隔月で医師やコメディカルがテーマに沿って解説いたします。詳しくは添付のファイルをご参照下さい。

医療関係の方へ
1型・インスリンポンプ外来
インスリンポンプは持続的にインスリンを皮下に注入することで、従来のような頻回のインスリン注射が不要となります。近年は小型化が進み、さらに持続血糖モニター機能も備わり、血糖コントロールが困難な方でも良好な血糖管理が実現可能となりました。当センターでは適切な機器を導入し、専門知識を持った医師・看護師が一丸となって合併症予防に努めています。ご紹介いただきます際は「1型糖尿病・インスリンポンプ外来」宛てで紹介状をご記載ください。

右/フットケア外来
糖尿病の方は足壊疽のリスクが高く、正しいケアを怠ると下肢切断となることもあります。当外来では足のケアに関する専門の知識と技術を持った医師・看護師が、胼胝(タコ)や潰瘍といった皮膚や爪のトラブルに対し丁寧なケアを行っております。さらに形成外科、血管外科、整形外科、皮膚科と連携しており、軽症の方の予防から重症の方の治療まで幅広く対応が可能です。

肥満症外来
肥満症は糖尿病や高血圧症、脂質異常症など様々な疾患を引き起こします。当外来では食事・運動療法のみならず、内服薬や注射薬、心理的サポート、腸内細菌やロボット技術を応用した様々な方法で治療に取り組んでいます。外科的治療を行う医療施設とも連携しており、患者さんお一人お一人に合った減量をチーム体制でサポートしています。ご紹介いただきます際は「肥満症外来」宛てで紹介状をご記載ください。

ご紹介いただく先生方へ
血糖コントロールが難しい方、インスリンやGLP−1受容体作動薬などの注射薬の導入が検討される方、高度肥満のある方、ウゴービ使用を検討されている方、1型糖尿病の方やインスリンポンプ療法が検討される方、足病変のハイリスクの方、強い遺伝性を疑う糖尿病の方などいらっしゃればお気軽にご紹介ください。治療方針を見直したい方、多忙で生活習慣の改善が乏しい方などを対象に週末を活用した短期入院も行っています。ぜひご活用ください。

受診について
- 当院では患者さんの待ち時間を短縮するため、予約制を導入しています。
- ご予約方法は一般の患者さんと医療関係の方で異なります