リプロダクションセンター

概要

本邦では最近20年間に女性の初婚年齢が3歳以上上昇し、急激な晩婚化と少子化が進んでいます。不妊の原因となるような病態がなくとも、年齢が故に不妊となる女性が急増しており、本邦の生殖補助医療(ART)治療周期数は過去10年間で4倍に増加し、ARTによる児は全出生児の5%に迫っています。女性の社会進出と晩婚化によって子供が0~1人しかいない家庭が増え、その1回しかない妊娠・出産に対して、家庭も社会も、着床前・出生前診断などを含む高度生殖医療・周産期医療を求めるようになっています。一方で、晩婚化は分娩経験前のがん患者の増加にも繋がっており、がん患者の妊孕性温存をサポートするための「がん生殖」も重要になっています。今後当院の生殖医療は「リプロダクションセンター」として、民間不妊クリニックにない特色を活かし、様々な生殖医療に対するニーズに応えて社会的使命を果たしていきたいと考えております。
*なお、当院は日本産科婦人科学会のART登録施設の1つであり、体外受精・胚移植を含む生殖補助医療を受けられた場合、同学会への登録事業を行っております。

目次

特色・方針・目標


大学病院であることを生かした専門的な診療と、他科との堅密な連携が特色です。

ご夫妻それぞれが同一施設内で産婦人科(生殖医療)・泌尿器科の専門医による最先端の診療を受けることができます。それらは商業主義とは異なるevidence-based medicine(慶應医学)であり、円滑に連携されています。

不妊治療のなかでご夫妻に手術が必要になる場合でもできる限り速やかに対応します。例えば、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、卵巣嚢腫など対する手術についても丁寧に対応し、手術前後もできるだけ採卵は行い(全胚凍結)、シームレスで効率の良い不妊治療を心がけています。

男性に不妊の原因がある場合も少なくはありません。男性不妊外来では、勃起障害、乏精子症・無精子症の診断・治療(ホルモン療法、漢方療法、精索静脈瘤手術、顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)など)を行っています。

最先端の周産期・小児医療と連携を強化しています。出産年齢の高齢化や生殖医療の多様化によるハイリスク妊娠の増加に対して、当院では、着床前・出生前診断も含め、女性が安心して妊娠・出産し、子供の健康を託すことのできる高度な周産期・小児医療が実践されています。

他科との緊密な連携により、合併症を持った方も安心して不妊治療、妊娠管理、出産が行えます。

がん患者の妊孕性温存「がん生殖」を、腫瘍センター、ブレストセンター、婦人科と連携して実践しています。晩婚化により最近では出産前にがんに罹患してしまう方が増えています。一方で、新規抗がん剤の登場と支持療法の進歩により、長期生存を果たすがん患者も増加しています。最先端の多様ながん治療を行う当院では、がん患者の妊孕性温存に対応すべく努力しています。

カウンセリングにも力を入れています。当院には不妊症認定看護師、遺伝カウンセラーもおりますので、不妊の治療方針に関する相談、遺伝子検査に関する相談、がんの確定診断を受けた直後に直面する妊孕性温存に関する相談、多様化する高度生殖医療において継続的なカウンセリングを行っております。


画像をクリックすると各部門のHPが開きます乳腺外科腫瘍センター血液内科整形外科婦人科泌尿器科リウマチ膠原病内科小児悪性腫瘍臨床遺伝学センター周産期医療新生児医療小児科着床前診断非配偶者間人工授精生殖医療

*画像をクリックすると各部門のHPが開きます。

対象疾患は次のようになっております

次のような症状を扱っております

検査内容のご案内

主な実績


生殖分野では人工授精(約1,500件/年)体外受精・顕微授精ー胚移植(約600-700件/年)内視鏡手術(約100件/年)を中心に不妊症診療を行っております。
また、着床前遺伝子診断(約50件/年)NIPT(約300件/年)羊水検査(約300件/年)による出生前診断も行っております。
さらに"がん生殖"の領域では、女性の場合、子宮体癌の妊孕性温存療法である高用量MPA療法後、子宮頸癌の妊孕性温存手術である広汎性子宮頸管摘除術後、そして乳癌術後・化学療法前の、採卵と胚/卵子凍結などを多く手がけ、
男性の場合は癌治療前に精子凍結保存を多数行っています。


2017年度実績
人工授精数:AIH 683件、AID 1634件
採卵数:627件
PGD:57件
生殖外科手術件数:83件


ご挨拶


リプロダクションセンター・センター長 浜谷 敏生

リプロダクションセンター・センター長、産科学講師の浜谷敏生と申します。
慶應義塾大学産婦人科学教室は、1948年に日本で初めての人工授精を施行して以来、東京歯科大市川総合病院で国内2例目の体外受精による妊娠に、さらに国内初の凍結受精卵を用いた胚移植に成功し、常に日本の生殖医療をリードしてまいりました。現在も当院は生殖医療専門医8名、内視鏡技術認定医3名、臨床遺伝専門医7名を擁し、また他科との緊密な連携に支えられた日本有数の包括的な生殖医療拠点です。
ご夫妻の不妊原因を見極め、治療方針について十分説明をし、ご夫妻に寄り添って過不足のない的確な不妊治療を心がけています。micro-TESEを含め男性不妊症治療やがん・生殖医療(がん患者の妊よう性温存)にも注力しています。様々な合併症にも対応し、安心して不妊治療、妊娠、出産に臨めるようサポートしてまいります。

医師紹介

氏名 写真 職位 専門領域 認定資格等
浜谷 敏生 浜谷 敏生 専任講師
リプロダクションセンター センター長
生殖医学・がん生殖・臨床遺伝学 日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医・指導医
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医
日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医
日本医師会認定 産業医
森田 伸也 森田 伸也 助教
保険担当医長
リプロダクションセンター副センター長
臓器移植センター副センター長
泌尿器癌・腎不全(透析・腎移植)・男性不妊症・性機能障害 日本泌尿器科学会専門医・指導医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本移植学会移植認定医 日本臨床腎移植学会腎移植認定医
田中 守 田中 守 産科教授・診療科部長
リプロダクションセンター 副センター長
周産期・臨床遺伝学・生殖医学・生殖内分泌・発生生物学 日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医・指導医
日本超音波医学会認定 超音波専門医/指導医
日本周産期・新生児学会 暫定指導医
日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医
東京都医師会母体保護法指定医師
末岡 浩 末岡 浩 准教授 生殖医学・臨床遺伝学・内視鏡手術 日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医・指導医
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医/指導医
日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/指導医
日本内視鏡外科学会認定 技術認定医(産科婦人科)
日本産科婦人科内視鏡学会認定 技術認定医
東京都医師会母体保護法指定医師
丸山 哲夫 丸山 哲夫 准教授 生殖医学・不育症・周産期・内視鏡手術・生殖内分泌・臨床遺伝学 日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医・指導医
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医
日本産科婦人科内視鏡学会認定 腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会認定 内視鏡技術認定医(産婦人科)
日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医・指導医
日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医
日本周産期・新生児医学会認定 周産期専門医(母体・胎児)
日本女性医学会認定 女性ヘルスケア認定医
新生児蘇生法インストラクター
厚生労働省認定 臨床修練指導医
東京都難病指定医
日本再生医療学会認定 再生医療認定医
内田 浩 内田 浩 専任講師
外来医長
生殖医学・生殖内分泌 日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医・指導医
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医
山田 満稔 山田 満稔 専任講師 生殖医学・がん生殖・臨床遺伝学
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医・指導医
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医
日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医
佐藤 卓 佐藤 卓 助教 生殖医学・
臨床遺伝学
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医・指導医
日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医・
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医
内田 明花 内田 明花 助教 生殖医学・生殖内分泌・周産期・臨床遺伝学 日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医・指導医
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医・
日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医・
日本女性医学学会認定 女性ヘルスケア専門医
水口 雄貴 水口 雄貴 助教 生殖医学・臨床遺伝学 日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医・指導医
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医
日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医
東京都医師会母体保護法指定医師
精中委マンモグラフィ検診・読影認定医
日本母体救命システム普及協議会(J-CIMELS)ベーシックコース・インストラクター
上條 慎太郎 上條 慎太郎 助教 生殖医学・がん生殖 日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医

外来診療表担当表

受診の流れ

女性不妊については産科の生殖初診を窓口に、男性不妊については泌尿器科初診を窓口に拝見いたします。初診後は、症状や病状に応じて適切な外来をご案内いたします。
担当医については外来診療担当表をご覧ください。

当院では予約制を導入しております。一般の患者さんの初診予約についてはこちらをご参照ください。
http://www.hosp.keio.ac.jp/annai/raiin/syoshin/

詳しい診療内容については各診療科のホームページもご参照ください。
産婦人科学教室 生殖外来
泌尿器科学教室 男性不妊外来

体外受精について

体外受精とは、未受精卵を体外に取り出し、精子と媒精して受精させ、培養する技術です。
自然周期では、ひとつの卵胞(主席卵胞)が選ばれ成熟卵胞となり排卵します。一方、体外受精では、できるだけ多数の成熟卵胞を得ることが重要となります。そこで、Gn-RHアナログ製剤やGn-RHアンタゴニスト製剤などを用いて本来のホルモン動態を抑制しながら、排卵誘発剤(クロミフェン、レトロゾール、FSH/hMG注射など)を投与することにより、複数の成熟卵胞を発育させる方法を取ります。

詳細はこちらをご覧ください。
http://www.obgy.med.keio.ac.jp/03clinical/obstetrics/reproduction/IVF.html

2018年4月より、諸般の事情により生殖医療費の一部を改定致しました。何卒ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。

*なお、当院は日本産科婦人科学会のART登録施設の1つであり、体外受精・胚移植を含む生殖補助医療を受けられた場合、同学会への登録事業を行っております。

着床前遺伝子診断(PGD)について

慶應義塾大学病院は、 わが国における着床前遺伝子診断(preimplantation genetic diagnosis; PGD)のパイオニアとして、 その臨床研究を実施しています。 PGDは、 体外受精の過程で発生した胚の遺伝子診断を行い、 健康な子どもの妊娠を目指す方法です。
当院は、 これまでにわが国の重い遺伝病に対するPGDのほぼ全ての事例を担って来ました。遺伝カウンセリング・体外受精・遺伝子診断を全て自施設内で行っており、 高度な専門知識・豊富な経験に基づく遺伝カウンセリングと最先端の技術を提供するように努めています。
http://www.obgy.med.keio.ac.jp/pgd.html

卵管鏡下卵管形成術(FT)について

卵管閉鎖や狭窄などの通過障害に対して、従来の開腹手術などに代わり、1.2mm径の円筒状バルーンカテーテルと0.6mm径の卵管ファイバースコープを用いて治療する方法です。
我々は1994年からまさにこの治療のパイオニアとして治療の開発と導入を開始しました。現在は健康保険の適用にもなっている、極めて効果の高い低侵襲治療法です。

ホルモン外来について

排卵と月経は、脳(視床下部・下垂体)と卵巣そして子宮といった複数の臓器間でのデリケートかつ絶妙なホルモンのやりとりで保たれていますが、そのバランスが乱れると、生理不順・無月経・無排卵となってしまいます。
当外来は,このような月経異常の方とそれが原因で不妊になっている方の検査・治療を行う外来です。原則として、午前中の生殖初診外来を受診していただき、初診医の判断にて当外来に紹介される仕組みとなっています。また、受診の際には基礎体温表(最近2ヶ月以上)の持参が望ましいです。

不育症外来について

不育症とは、妊娠しても流産を2回以上繰り返す、あるいは死産となってしまい、元気な赤ちゃんを得ることができない状態を指します。1回の自然流産は妊娠した人の約15%に起こり、ほとんどが胎児側に偶然に起こった異常によるものです。しかしこれが2回、3回と連続した場合には、ご夫婦のいずれかが流産を繰り返す何らかの原因を持っている可能性があります。
当院不育症外来では、上記のようなご夫婦を対象とし、流産の原因となるさまざまな要因について精密検査を行い、その結果に応じて適切な治療(薬物療法、手術療法など)を行います。また、妊娠された時は、過去の流産・死産の経験から生じる不安に寄り添い、ご出産までをサポートします。

生殖外科について

生殖外科は、今後妊娠の可能性あるいは希望のある方を対象とした手術を行う部門です。対象疾患は、子宮内膜症・子宮筋腫・卵巣嚢腫・卵管留水症腫・卵管周囲癒着・子宮内膜ポリープ・中隔子宮などの子宮奇形・子宮内腔癒着・卵管閉塞・腹腔内癒着等の良性疾患です。
悪性疾患の方は、今後の妊娠の可能性や希望があっても婦人科を窓口としていただきます。

がん・生殖外来について

生殖能力を有する年齢にあるがんや自己免疫疾患の患者さんに対して、がん治療医はなによりもがん治療を最優先します。しかし化学療法や性腺に対する放射線暴露により、治療後に性腺機能が著しく低下あるいは消失し、その結果、不妊となりうることが知られています。これらの治療前に、妊よう性を温存する方法として、本人の意思に基づき、男性の場合は精子、女性の場合は未受精卵子または胚・受精卵を凍結・保存すること(妊よう性温存療法)が考えられます。当院リプロダクションセンターでは腫瘍センターブレストセンター婦人科、および他科と連携して妊よう性温存療法(男性:精子凍結、女性:卵子・受精卵凍結、婦人科腫瘍に対する子宮温存手術)を実践しています。当院は日本産科婦人科学会が定める「医学的適応による未受精卵子、胚(受精卵)および卵巣組織の凍結・保存に関する登録」施設ですが、卵巣凍結は現在行っておりません。

 毎週火曜・金曜の15-16時、予約制です。
 他院からは、当外来指定、医師指定の紹介状をお持ちの方のみ受け付けおります。
 原疾患の治療が差し迫っている場合は、通常の生殖医療・初診外来(開院日は毎日午前中)でも受け付けておりますが、待ち時間が長くなったり、専門看護師の介助が難しかったり致しますので、ご了承下さい。
 既婚者の方は原則パートナとともに、未成年者の場合は保護者の方とともに、ご来院下さい。

妊よう性温存療法は、かならずお子さんが得られることを確約するものではありません。しかし、将来に関するいくつかの不安を軽減させて、原疾患の治療に積極的に参加出来るような一助になりえます。リプロダクションセンターでは、総合病院としての大学病院の強みを生かして、小児、思春期、若年がん患者さんにサバイバーシップの向上という恩恵がもたらされるよう、原疾患の治療を担当する医師と生殖を担当する医師、看護師(カウンセラー)、培養士とのチームで、診療にあたっていきたいと考えています。

精巣内精子採取術(TESE)について

非閉塞性無精子症、精路再建不可能な閉塞性無精子症(先天性両側精管欠損症や精路閉塞部位が長いなど)、高度乏精子症、射精障害などの方が適応となります。
閉塞性無精子症や射精障害の場合は、局所麻酔で短時間で体に負担を与えずに行う精巣内精子採取術(Conventional TESE)を行うことが可能です。

一方、非閉塞性無精子症の場合は、じっくりとくまなく精巣をしらべる顕微鏡下精巣内精子採取術(Microdissecion TESE:MD-TESE)を行います。その際は、患者様の全身状態と、ご希望を踏まえて全身麻酔、腰椎麻酔、局所麻酔を選択して行うことが当院では可能です。全身麻酔を行う際は、麻酔科専門医が行います。

不妊に対する顕微鏡下精巣内精子採取術
http://www.keio-urology.jp/treatment/infertility.html

採取可能であった精子は、その場で、不妊治療専門の産科医師と培養師が回収、保管するため、すみやかに奥様への補助生殖医療へつなげることが可能です。

連絡先

ご相談は下記までご連絡ください。

  • 電話03-3353-1211
  • FAX03-3226-1667

受診について

  • 当院では患者さんの待ち時間を短縮するため、予約制を導入しています。
  • ご予約方法は一般の患者さんと医療関係の方で異なります。