| 実施診療科 | 産婦人科 |
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| 承認年月日 | 2026年4月1日 |
| 適応症 |
1)摘出可能と判断される卵巣癌(卵管癌や腹膜癌、境界悪性卵巣腫瘍も含む) 2)術前治療を行った後、摘出可能と判断される卵巣癌(卵管癌や腹膜癌、境界悪性卵巣腫瘍も含む) |
主な内容
先進性
卵巣癌(卵管癌や腹膜癌、境界悪性卵巣腫瘍も含む)に対する根治術は、現在開腹手術による子宮全摘出術・両側付属器摘出術・骨盤リンパ節郭清・傍大動脈リンパ節郭清・大網切除術を含む術式が行われていて、婦人科領域において最も侵襲が大きい治療の一つとなっています。本術式は、手術創が大きく、手術後に腸閉塞などの合併症の頻度が高く、術後の化学療法が遅れることがあります。また、開腹手術を試みたものの、病状が進行しているために手術が不可能である場合に、開腹手術に伴う合併症で化学療法の導入自体が遅れることもあります。本邦では卵巣癌に対する腹腔鏡下手術は保険診療として導入されていませんが、卵巣癌に対する根治術の術式自体は早期の子宮体癌で行われている腹腔鏡下手術の術式とほぼ同じであるため、子宮体癌と同様の手術技能を用いれば卵巣癌に対する腹腔鏡下手術は実施可能と考えられ、術後の腸閉塞などの周術期合併症を減少させることが可能と考えられています。
概要
手術の概要は、従来行われてきた腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術のステップと同様で以下のように実施します。
1)腹腔鏡下に患側の付属器摘出術もしくは子宮全摘出術+両側付属器摘出術を行い、術中迅速病理診断に提出します。病理診断の結果により、骨盤や傍大動脈リンパ節郭清、大網切除を追加します。また術前に良性卵巣腫瘍と診断して卵巣腫瘍摘出もしくは付属器摘出を行い、術後の病理診断で悪性もしくは境界悪性と診断された症例に対するステージング手術として行う場合には、残存した付属器摘出術、子宮全摘出術を行います。
2)骨盤内の血管を含めた解剖構造を露出し、骨盤リンパ節郭清を行います。
3)上腹部操作に移り、下腸間膜動脈・腎静脈を確認した上で、腎静脈以下の傍大動脈リンパ節郭清を行います。
4)切除したリンパ節を収容袋に回収し、臍部切開創もしくはトロッカー孔や腟断端より摘出します。
5)大網切除を行います。
2)、3)に関しては症例により実施の有無を選択します。
注)症例によって術中迅速診断は行わないこともあります。術後は必要に応じて、補助化学療法を推奨します。病巣切除のため必要に応じ各領域の専門医資格をもつ泌尿器科医師、外科医師と共同で他臓器切除を内視鏡下に追加します。なお、腹腔鏡手術操作困難と判断された場合は、速やかに通常通りの開腹手術へ移行します。
効果
腹腔鏡下卵巣癌(卵管癌や腹膜癌、境界悪性卵巣腫瘍も含む)手術は、これまで25~30cmにおよぶ恥骨上縁から剣状突起に達する上・下腹部正中切開で行っていた術式を、5-12mmの数か所の小孔を用いて腹腔鏡下で行う方法です。海外の報告では開腹術との比較で手術侵襲の軽減、術後疼痛および合併症の減少、術中出血量の減少、入院期間の短縮、早期社会復帰などがみられ、患者のQOLの向上にも著しい成果があると考えられ、症例を選択することで術後治療を速やかにつなげることができると考えられます。