概要

遺伝性疾患の患者さんとご家族のニーズに幅広く、きめ細かく応えるため、2011年8月に開設しました。国内外の臨床遺伝専門医資格を有する20名以上の各科医師が国際水準の医療を提供するよう力をあわせております。
診療チームには遺伝カウンセラーも加わり、様々な立場におられる患者さんやご家族の心持ちを伺うように努めております。 倫理的問題について十分に配慮した上で、必要のある場合に遺伝子検査を行っています。 公的研究助成を受けた遺伝子解析研究、検査会社が提供する遺伝学的検査(一部のみ保険適応)を提供しています。
単一施設としては全国最多数の臨床遺伝専門医を擁しており、幅広い分野の遺伝性疾患に対して専門的な対応が可能です。遺伝カウンセラーがきめ細かい支援を行っております。遺伝子研究施設として国際的な実績があり、幅広い疾患に対して検査や解析を提供可能です。

特色・方針・目標

他の医療機関で「遺伝病」や「染色体異常症」などといわれ、 詳しい相談・説明・検査を希望される方や配偶者、親兄弟などが遺伝性疾患でご自身やわが子が同じ病気になるのではないかと不安に思っている方の相談に応じています。

プライバシーの保たれたお部屋にて、ゆっくりと時間をかけてお話を伺います。
倫理的問題について十分に配慮した上で、必要のある場合に遺伝子検査を行っています。
公的研究助成を受けた遺伝子解析研究、先進医療として認可された遺伝学的検査(自費)、検査会社が提供する遺伝学的検査(一部のみ保険適応)などを提供しています。
※親子鑑定は実施しておりません。

対象疾患は次のようになっております

  • 先天性疾患:遺伝性疾患全般(5000以上の疾患について遺伝学的検査が可能)。染色体異常症、先天異常症候群、診断不明等

  • 出生前診断:染色体異常症、単一遺伝子疾患(Duchenne型筋ジストロフィー、筋強直型筋ジストロフィー、福山型筋ジストロフィー、先天性水頭症、オルニチントランスカルボミラーゼ欠損症等)、習慣流産、ミトコンドリア病、不妊症、男性の乏精子症、無精子症、性分化異常、不育症等

  • 遺伝性腫瘍:遺伝性乳がん・卵巣がん、リンチ症候群、マイクロサテライト不安定性陽性腫瘍、家族性大腸腺腫症、リ・フラウメニ症候群、ポイツ・ジェガース症候群、遺伝的素因が疑われるがんおよび遺伝性腫瘍等

  • 皮膚疾患:遺伝性皮膚疾患全般。表皮水疱症、レックリングハウゼン病、白皮症、結節性硬化症、基底細胞母斑症候群等

  • 耳鼻科疾患:先天性難聴等

  • 神経筋疾患:筋強直性筋ジストロフィー、ハンチントン病等

  • 循環器疾患:不整脈、心筋症、肺高血圧症等

次のような症状を扱っております

臨床遺伝学センターでは、遺伝や遺伝子に関する様々なご相談に専門スタッフが対応いたします。

・生まれつきの病気の子どもがいるが診断不明である。
・遺伝性の病気が疑われるが診断不明である。
・家族の中に同じ病気の人がいないのに遺伝の病気と言われた。
・先天的な病気の子どもがいるが、次の妊娠が不安である。
・若くしてがんを発症した家族やがんに罹った家族が複数いるが、遺伝性のがんかどうか心配である。
・先天性難聴と言われたが、遺伝子検査について知りたい。
・高齢妊娠であり、漠然と妊娠に不安がある。
 など

遺伝や遺伝子に関するご相談の内容は多岐に渡りますので受診を迷われる方は、まずお電話でご相談下さい。

主な実績

診断のつかない患者さんに対して、多数の遺伝子を同時に解析することで診断をつけようとする国のプロジェクト「未診断疾患イニシアチブ」の拠点施設となっています。全国で4,000名以上が参加し、1/3の患者さんの診断がつきました。全体の4割程度を当院が担当しました。
がんゲノム医療中核拠点病院として遺伝性腫瘍の遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

名称 件数 備考
先天性疾患 790人 2023年度
遺伝性腫瘍 422人 2023年度
出生前診断・ 着床前診断 533人 2023年度
遺伝性難聴 42人 2023年度
皮膚疾患 25人 2023年度
内科系疾患 45人 2023年度

ご挨拶

インターネットの普及により、遺伝現象に関する一般的な事柄や、各疾患について様々な情報を各種のホームページから得ることができるようになりました。しかし、インターネット上の情報のみを通じて遺伝性疾患について正しく理解することは困難であると考えます。一般の方・研究者など様々な立場の方が情報を発信しておられますが、診療の現場から見た場合には、患者さんに誤解を与えるのでは心配になる内容も少なくありません。
遺伝性疾患との診断を受け、さらなる情報を求めておられる場合には、インターネット上の必ずしも正確とは云えない情報に惑わされることなく、まずは臨床遺伝学の専門医と相談されることをお勧めしたいと思います。

遺伝カウンセラー


武田祐子・三須久美子

非侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)について


慶應義塾大学病院は「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査を実施する施設」の認定施設に登録をされております。詳細は以下の産科のページをご参照ください。
母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査(NIPT)について

連絡先

より詳しい情報は当部門の専用webサイトをご覧ください。

受診について

  • 当院では患者さんの待ち時間を短縮するため、予約制を導入しています。
  • ご予約方法は一般の患者さんと医療関係の方で異なります