概要

誰でも日常のなかで痛みを感じる経験があると思います。多くの場合は一時的なもので、時間が経てば自然と良くなりますが、痛みの原因や症状によっては、数か月から数年にわたる慢性的な痛みもあります。
そのような痛みは、自分にしかわからず他人に理解されないという不安からますますひどくなってしまい、日々の生活を困難にします。
慶應義塾大学病院痛み診療センターでは、痛みの診療に関わる麻酔科、精神科、リハビリテーション科、整形外科の専門医がさまざまな側面から総合的に慢性痛を評価・診断し、痛みをもつ患者さんひとりひとりに合ったオーダーメードの痛みの治療を提供いたします。

特色・方針・目標

痛み診療センターの理念として
 痛みの原因の探求に努め、患者さんの痛みと向き合います。
 様々な専門的観点から、総合的に痛みの治療を行います。
 新しい知識を高め、患者さんに役立つ情報を提供します。
を掲げております。私たちの目標は、身体的な痛みの治療だけでなく、痛みによって生じている運動機能の低下や、心理的な不安や思い込みを修正していき、患者さん自身が、心身ともに良い方向に向かっていけるようお手伝いをさせていただきます。当院の痛み診療センターでは、痛みに対して様々な質問票を用いて多面的に評価を行い、治療方針を決定し、治療効果判定を行っています。運動療法、心理療法、薬物療法、神経ブロック療法、脊髄刺激療法、外科的手術療法などの専門家が定期的にカンファレンスを行い、ひとりひとりの患者さんに合った医療を行い少しでも痛みの苦痛から逃れられるサポートができるように心掛けております。

次のような症状を扱っております

足腰の痛み・しびれ
首や肩の痛み
腕や手・指先の痛み・しびれ
末梢神経障害性疼痛
帯状疱疹の痛み
手術後の痛み
頭や顔の痛み

主な実績

2025年 実績
外来患者数(14,923人)
神経ブロック総数(10,932件)
透視下神経根ブロック(3,446件)
神経根パルス高周波法(44件)
星状神経節ブロック(1,550件)
硬膜外ブロック(1,167件)
腕神経叢ブロック(493件)
仙骨硬膜外ブロック(123件)
高周波熱凝固術(23件)
硬膜外癒着剥離術(23件)
脊髄刺激装置植込術(3件)
脊椎脊髄しびれ外来(初診 32人)
疼痛心身症外来(初診 81人)

2024年 実績
外来患者数(14,985人)
神経ブロック総数(10,948件)
透視下神経根ブロック(3,353件)
神経根パルス高周波法(52件)
星状神経節ブロック(1,533件)
硬膜外ブロック(1,226件)
腕神経叢ブロック(488件)
仙骨硬膜外ブロック(157件)
高周波熱凝固術(31件)
硬膜外癒着剥離術(24件)
脊髄刺激装置植込術(2件)
脊椎脊髄しびれ外来(初診 14人)
疼痛心身症外来(初診 72人)

2023年 実績
外来患者数(13,996人)
神経ブロック総数(7,820件)
透視下神経根ブロック(3,012件)
神経根パルス高周波法(49件)
星状神経節ブロック(1,342件)
硬膜外ブロック(1,123件)
腕神経叢ブロック(492件)
仙骨硬膜外ブロック(144件)
高周波熱凝固術(30件)
硬膜外癒着剥離術(24件)
脊髄刺激装置植込術(3件)
脊椎脊髄しびれ外来(初診 28人)
運動療法外来(初診 93人)
疼痛心身症外来(初診 89人)

ご挨拶

現在わが国では、慢性痛をわずらう人口は2,000万人以上と推定されています。このことは、国民の6人にひとりが、身体になんらかの痛みを抱えて生活しているということになります。痛みの重症化・長期化・難治化は、その人の生活の質や日常生活動作を著しく低下させ、高齢者では健康寿命の短縮、働き世代では仕事効率の低下や就労制限を招きます。
慢性痛は神経系や筋骨格系などの身体的要因だけでなく、社会・心理的要因が複雑に関連します。痛みへの恐怖から、過度に安静にしてしまい、筋力の低下や気持ちのふさぎこみを招き、かえって痛みが長引いていきます。
痛みを多面的に分析し、さまざまな専門的観点から治療する仕組みを「学際的痛み診療」と言います。患者さん一人ひとりの痛みと向き合い、多職種による学際的な痛みの総合診療を提供していきたいと考えています。どうぞ、お気軽にご相談ください。

慶應義塾大学病院痛み診療センター長 若泉謙太

研究内容

痛み診療の発展を目指した研究
慶應義塾大学病院痛み診療センターでは、慢性疼痛の病態解明と新たな診断・治療法の開発を目指し、臨床と研究を一体的に推進しています。
脳画像解析(MRI・fMRI)を活用した疼痛研究をはじめ、慢性疼痛、神経障害性疼痛、周術期疼痛・慢性術後痛、がん関連疼痛、オピオイドの適正使用など、幅広いテーマに取り組んでいます。
研究成果を診療へ還元するとともに、診療現場で生じた課題を新たな研究へと発展させることで、より良い痛み診療の実現を目指しています。

実施中の研究について
当センターで現在実施している研究課題や研究参加者募集状況については、以下のページをご覧ください。
▶ 研究紹介
https://www.keio-paincenter.jp/research/index.html

最新の研究業績・学術活動
当センターの論文掲載や学会発表などの最新の研究業績は、「お知らせ」ページにて随時ご紹介しています。
▶ お知らせ・最新業績
https://www.keio-paincenter.jp/news/index.html

教育内容

痛み診療を担う次世代人材の育成
慶應義塾大学病院痛み診療センターでは、医学生、研修医、専攻医、大学院生、ならびに多職種医療従事者を対象に、痛み診療に関する教育・人材育成に取り組んでいます。
痛みは身体的要因のみならず、心理・社会的要因が複雑に関与する症状であり、その診療には多面的な視点が求められます。当センターでは、生物心理社会モデルに基づいた包括的な痛み診療を学び、実践できる人材の育成を目指しています。

慢性疼痛診療の実践的トレーニング
外来診療やカンファレンスを通じて、
・痛みの包括的評価
・慢性疼痛の診断と鑑別
・オピオイドを含む薬物療法の適正使用
・神経障害性疼痛への対応
・神経ブロックなどのインターベンション
・がん性疼痛および非がん性慢性疼痛の診療
・痛み関連精神症状への対応
について実践的に学ぶことができます。

多職種教育
慢性疼痛診療では、医師のみならず看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、公認心理師など多職種の連携が不可欠です。
当センターでは、
・多職種カンファレンス
・症例検討会
・院内勉強会
・教育セミナー
を通じて、職種の垣根を超えた学びの機会を提供しています。

見学・研修について
痛み診療センターでは、全国の医療機関からの見学や短期研修を受け入れています。
慢性疼痛、難治性疼痛、がん性疼痛、神経障害性疼痛などに関心を持つ医療従事者に対し、実際の診療現場を体験できる機会を提供しています。

募集採用について

痛み研究に挑戦する大学院生を募集しています
慶應義塾大学病院痛み診療センターでは、痛みの病態解明と新たな診断・治療法の開発を目指し、大学院生を募集しています。
当センターでは、慢性疼痛、神経障害性疼痛、周術期疼痛・慢性術後痛、がん関連疼痛、オピオイドの適正使用などを主要な研究テーマとしており、臨床データ解析から脳画像解析(MRI・fMRI)まで幅広い研究を行っています。
医師に限らず、多職種の方の研究参加も歓迎しています。

連絡先

より詳しい情報は当部門の専用webサイトをご覧ください。

受診について

  • 当院では患者さんの待ち時間を短縮するため、予約制を導入しています。
  • ご予約方法は一般の患者さんと医療関係の方で異なります